楕円時計の設定
楕円のかたちをした時計。針は中心から縁まで伸び,回りながら長さが伸び縮みする。角度の取り方
本動画では,時計に合わせて角度 θ を12時の方向から時計回りに測る。
このとき,中心から角度 θ の方向に長さ r だけ伸びた先端の座標は
x=rsinθ,y=rcosθ
12時の方向から測った角度 θ の向きに,長さ r だけ伸びた針。先端の横の位置が r sinθ,縦の位置が r cosθ。設定値
| 記号 | 意味 | 値 |
|---|
| a | 横の半径(3時・9時方向) | 10 cm |
| b | 縦の半径(12時・6時方向) | 20 cm |
| ω | 角速度(長針,1時間で1周) | 6∘/分 |
ストップウォッチの秒針は ω=6∘/秒(1分で1周)を使用。
針の長さ r(θ) の導出
楕円の方程式から導出
楕円の方程式 a2x2+b2y2=1 に x=rsinθ,y=rcosθ を代入:
a2r2sin2θ+b2r2cos2θ=1r について解くと
r(θ)=b2sin2θ+a2cos2θabここで分母の中身に名前をつけ,D=b2sin2θ+a2cos2θ と置くと r=Dab と書ける。以降この D を使う。
a=10, b=20 での値
| 位置 | θ | r |
|---|
| 12時 | 0∘ | 200/100=20 cm(最長) |
| 3時 | 90∘ | 200/400=10 cm(最短) |
楕円の方程式: 102x2+202y2=1,すなわち 100x2+400y2=1。
先端の速さ v(θ) の導出
2つの速度成分
針が角速度 ω で回転しているとき,先端の速度は2つの直交成分に分解できる:
- 針に垂直な方向(回転成分): rω
- 針の方向(伸縮成分): dtdr
先端の速度は2つの向きに分かれる。針に垂直な回転成分 rω と,針の向きの伸縮成分 (dr/dθ)ω。この2つを合わせたものが速さ v。連鎖律による伸縮速度
r は θ の関数として求めたので,時間微分は連鎖律で:
dtdr=dθdr⋅dtdθ=dθdr⋅ωθ は単位時間あたり ω ずつ変わるので,dr/dθ に ω をかければ伸縮速度が得られる。
三平方の定理による合成
回転成分と伸縮成分は直角なので:
v=(rω)2+(dθdrω)2=ωr2+(dθdr)2dr/dθ の計算
さきほどの D=b2sin2θ+a2cos2θ(r=ab/D の分母の中身)を θ で微分すると,
dθdD=(b2−a2)sin2θこれを使って r=abD−1/2 を微分すると,
dθdr=−2D3/2ab(b2−a2)sin2θa=10,b=20: b2−a2=300,dθdr=−D3/230000sin2θ。
θ=0∘,90∘(12時・3時)では sin2θ=0 → dr/dθ=0 → v=rω。
最速点は12時ではない
数値計算の結果:
| θ | 位置 | r (cm) | v/ω (cm) | 備考 |
|---|
| 0∘ | 12時 | 20.0 | 20.0 | 最速ではない |
| 15∘ | 12時の少し後 | 18.3 | ≈21.5 | 最速 |
| 90∘ | 3時 | 10.0 | 10.0 | 最遅 |
| 345∘ | 12時の少し前 | 18.3 | ≈21.5 | 最速 |
理由(手計算で確かめる)
12時ちょうどでは dr/dθ=0(伸縮が止まる瞬間)で,速さは rω=bω。一見ここが最速に見える。だが少しずらすと,r はわずかに減る一方で,伸縮の速さ dr/dθ が0から立ち上がる。どちらが勝つかを,速さの2乗
g(θ)=(ωv)2=r2+(dθdr)2を θ=0 のまわりで展開して調べる。D≈a2+(b2−a2)θ2 から r≈b(1−2a2b2−a2θ2),dθdr≈−a2b(b2−a2)θ となり,
g(θ)≈b2+a4b2(b2−a2)(b2−2a2)θ2θ2 の係数の符号は(b>a なので)b2−2a2 で決まる:
- b<2a:係数が負 → θ=0 が速さの山。12時が最速。
- b>2a:係数が正 → θ=0 は谷。最速は12時の両どなりへずれる。
a=10 なら境目は b=2⋅10≈14.1 cm。楕円時計(b=20)はこれを超えるので,12時は最速ではない。投げたボールが頂点で一瞬遅くなるのと同じで,長い軸の先端(12時)は速さの谷になっている。
体験速度グラフ:楕円の形を変えてみる
スライダーで b を動かすと速度曲線が変わります。b = 10(円)では水平線(速度一定)に,b を大きくすると12時の前後に2つの山が現れ,最速点が12時からずれていきます。
最速角度を求める
最速の角度は g′(θ)=0 をきちんと解いて得られる。計算しやすいよう,ここでは3時の方向(x軸)から測った角度 φ をとり,u=sin2φ と置くと,極値条件は次の形にまとまる:
u=sin2φ=2(a2−b2)(a2+b2)b2(a2−2b2)a=10, b=20 を入れると u=1514≈0.933,すなわち φ≈75∘。これを12時から測り直すと 90∘−75∘=15∘。先ほどの数値計算の「12時の少し後 15∘」とぴったり一致する。
楕円の潰れ具合による変化
手計算でわかったとおり,最速点が12時からずれるのは b>2a のときだけ。a=10 を固定して b を変えると:
| 縦半径 b | 最速の位置 | v(12時)/ω | vmax/ω |
|---|
| 12(<14.1) | 12時 | 12 | 12 |
| 14.1(境目) | 12時 | 14.1 | 14.1 |
| 15 | 12時のすぐ横 | 15 | 15.0(+0.2%) |
| 20 | 12時の少し横 | 20 | 21.5(+7.6%) |
| 50 | 12時の横 | 50 | 102(+104%) |
円(b=a=10)に近いほど速さは一定に近づき,縦に長い楕円ほど12時とのずれが大きくなる。
楕円タイミングゲーム
楕円軌道上を一定角速度で動く対象に,特定位置でタイミングを合わせるゲームを考える。
ミニゲーム楕円タイミングゲーム
BPM 128 | Perfect ±50ms | Good ±85ms | Miss ±120ms
Perfect: 0
Good: 0
Miss: 0
点が頂点に来た瞬間にクリック(またはスペースキー)。スライダーを「円」に近づけると,どの位置でも同じ速さになり難易度が一定に。楕円のままだと,3時・9時はゆっくり,12時・6時は速く,12時の直前直後はフェイントがかかります。